【その1】スカウトって何?

ベーデンパウエル卿

ベーデンパウエル卿
(1857-1941)

 私たちの活動を「スカウト活動」といい、この団体を「ボーイスカウト」と称しますが、ではこの“Scout”って何でしょうか?

 英和辞書を引くと、“Scout”=「斥候」とあります。「斥候」とは、元々は軍事用語で、敵地深く潜入してその様子を探る任務を指しました。GPSや携帯電話はおろか、無線やカメラさえない時代の「斥候」は、自分の目で見て、耳で聞き、頭に記憶して、その情報を正しい「観察と推理」により報告することが求められました。兵士として勇敢であることはもちろん、「人間」としての優れた能力無くしては、この「斥候」の任務は果せなかったことでしょう。(ちなみにプロ野球や、芸能人の「スカウト」も「偵察する・探す」という同じ意味合いを持ちます)

 ボーイスカウト運動の創始者ベーデンパウエル卿(B-P)は、1857年生まれのイギリスの軍人でした。B-P卿は、「物で栄えて心で滅び」ようとしていた祖国の再建には、次世代を担う青少年たちの健全育成が急務であると考えてボーイスカウト運動を創始しますが、その教育法のヒントはB-P卿が軍人生活を通して最も得意としていた「斥候術」の中にありました。
 青少年が「よりよき市民」となり、社会や他の人々のお役に立って「幸福な人生」を送るためには、本に書かれた学問だけではなく、「自分の目で見て・耳で聞き、自分の頭で考えて、自分の力で道を切り拓く」斥候のような「人間としての能力」を体験を通して磨くことが必要だと考えたのです。 軍人としての第一線から引退したB-P卿は、1907年に21名の少年たちとともに「ブラウンシー島」で最初の「スカウト・キャンプ」を試行します。そして翌年の1908年「スカウティング フォア ボーイズ」(少年のための斥候術)という隔週雑誌を刊行して、キャンプやハイキングなど楽しい活動やゲームを提唱します。この本はイギリス中の少年たちに読まれてベストセラーとなり、B-P卿の呼びかけに少年たちが呼応する形でスカウト運動が始まったのでした。

私たちがいつも歌っている、日本のボーイスカウトの「連盟歌」にも、B-P卿の教育理念はハッキリと示されています。

まなこ(眼)ひらきて みきわめよ
みみ(耳)そばだてて ききただせ
われらにふだん(不断)の準備あり
手足に こころに ああ準備
  「連盟歌」の2番より

 2007年は、B-P卿による最初のスカウト・キャンプからちょうど100年目でした。この100年間で世界の様子も大きく変わりました。しかし、“Scouting”という実践的な「教育」は世界中に広がって、次世代を担う青少年たちに「自らの人生を・自ら切り拓いて行くチカラ」を変わりなく与え続けています。

(GL:たいま)

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