【その5】「隊旗」と「班旗」

班旗

カブ隊の組旗

 前回に引き続き「旗」のお話です。「国旗」が「国の名誉のしるし」であれば、スカウトたちが所属する「隊や班の名誉」を象徴するのは「隊旗」と「班旗」です。

 隊旗はビーバーからローバーまで隊ごとに設けるもので、そのデザインの標準はボーイスカウト日本連盟の規定に細かく示されています。ボーイ隊以上の隊旗については、「隊のネッカチーフの色=隊色」を旗の地色とするように定められており、本団のボーイ隊旗は、カブスカウト以上が統一して着用しているネッカチーフの「えんじ色」を旗の地色としています。

 隊旗には、棹の先にスカウト章を象った「冠頭」が取り付けられ、旗とともにラリーなどの参加記念章や「隊褒彰綬」と呼ばれる紐状の飾りを下げます。隊褒彰綬は、隊が一定の年数継続するごとに日本連盟から授与されるもので、隊旗を見ればその隊がどのくらいの歴史を持っているのかがわかるわけです。(ちなみに本団のカブ隊旗の「初代」はボロボロになってしまい、現在のものは「二代目」です)。入隊・上進式で「ちかい」や「やくそく」をたてるスカウトが、隊長と向き合って隊旗を握りながら宣誓するように、隊旗は「スカウトの名誉」のシンボルであり、常に隊のスカウトとともにあります。

 ボーイ隊がキャンプを行う時は、隊の公務を遂行するために日替わりの「当番班」が置かれますが、当番班の重要な任務の一つに「国旗の掲揚・降納」と「隊旗の格納」があります。当番班はその日のプログラムが全て終了すると隊旗を所定の場所に格納し、翌日の朝礼前にセレモニー広場に隊旗を設置します。隊が移動する時には当番班が責任を持って隊旗を携行します。このように、隊旗は本来スカウト自身によって大切に管理されるべきものです。

 隊に隊旗があるように、ボーイ隊の各班には「班旗」が、カブ隊の組には「組旗」があります。「班旗」は「班名」にちなみ、スカウトが自由にデザインして作ります。「組旗」はカブスカウトの「組別章」と同じカラーの三角形の布に「1組」なら一つ、「2組」なら二つ……といった具合に組の序数を表す白い○が付きます。本団では従前、ボーイ隊もカブ隊も「次長」さんが、班旗・組旗を管理していましたが、本来は「班長」「組長」の役務です。班旗にも組旗にも、たくさんのペナントや記念章が付いています。それらは、その班の、組の、仲間がみんなで力を合わせて競技やゲーム、キャンプでの「優秀班」になった「歴史」を物語るもので、先輩から後輩スカウトへ……と、「班(組)の名誉」「伝統」とともに受け継がれて行きます。

 本団が正式に発足する直前、大村団委員長はカブスカウトたちを連れて鎌倉の山にハイキングに出かけました。そして、組ごとに一本ずつ、形がよく丈夫な木の枝を探させ、その枝の皮を組のスカウト皆が協力し、ナイフで削って「組旗の棹」を作るプログラムを実施されました。組旗も皆でワイワイ相談しながら、布に絵を描いて作りました。出来上がった組旗は当時のスカウトの誇らしげな顔と一緒に、発団式のセピア色の記念写真に納まっています。

 いつの間にか本団では、隊長さんが隊旗の「お世話係」になり、「班旗」は活動の場から姿を消していますが、スカウトにとってはいずれも国旗以上に身近な「名誉のしるし」です。特に「班」や「組」は、スカウトがグループ活動を通じてリーダーシップや協調性を養う「人格養成学校」であり、スカウトがより自然体で、自分自身と仲間との「絆」を大切にする心を育むためにも、これらの「シンボルの活用」は活動の原点の一つとして見直されるべきであると考えています。

(GL:たいま)

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