【その12】スカウトソング
セレモニーでは「連盟歌」、
「光の路」を全員で斉唱
「スカウトソング」とは、スカウト活動の場で歌われる歌の総称です。野に山に、かつてはスカウトの姿のあるところに、必ず歌声がありました。歌には
心を高揚させ、あるいは
鎮め、また、共に歌う者の
「こころ」を一つにする効果があります。
さて、スカウトソングには、いくつかのタイプがあります。詩・曲ともにオリジナルでスカウト活動のために作られたもの、元々ポピュラーに存在していた曲に独自の歌詞を付けたもの、詩・曲ともにスカウト活動とは直接の関係はないもの、などがあります。第一・第二のタイプは、式典や活動に際してのセレモニーで歌われることが多く、歌詞には
スカウティング・スピリッツを語る要素が多く含まれます。ちなみに「連盟歌」は第一のタイプに属し、作曲者は有名な山田耕筰です。
第三のタイプには、躍動感ある踊りや身振りを加えた「アクションソング」なども多く、営火(=キャンプファイヤ)の時などに楽しく用いられます。この中には、世界各地の少数民族などに伝承された貴重な伝統歌謡を採譜したものなどもあり、スカウトが
「開拓者」であることを思い起こさせてくれます。また、今日あちこちのレクリエーション活動で一般的に歌われているものが、実はスカウトソングとして歌い継がれながら広まったものであることも散見されます。青少年教育運動の「魁(さきがけ)」であるスカウト運動の歴史と伝統を物語るものといえましょう。
多くの場合スカウトソングは、指導者がスカウトに、先輩が後輩へ
“口伝え”で教えます。日本連盟が発行している歌集には五線譜も付いていますが、「正調」のいかんに関わらず、活動中に
「歌いながら覚える」のが自然な姿です。ただし、「歌唱力」にはどうしても個人差が出ますので、私も自分の隊長や先輩から教わったソングを、「正しい」と信じて他団の仲間と一緒に歌ったところ、「それ、別の曲じゃないの?」とまでいわれた経験が一度ならずあります(笑)。
本団では、セレモニーの時など、ソングリーダーが先ず曲の最後の一節を独唱し、続いてアタマに戻って全員で斉唱する形をとっていますが、実は他団では見られない独特のスタイルです。これは、私がボーイ隊長だった時に、歌い出しで
全員の音程を一致させるために考え出した方法で、大学の応援団の技法にヒントを得たものです。でも、「音程を一致させる」という目的は、あまり理解されていないようで、さらには全体のリズムを取るはずの指揮も、大抵はお約束のようにリズムから外れてしまうのは困りものです……。もっとも大切なことは、
「皆が揃って元気よく・気持ちよく」歌えることでしょう。「上手に」は求めませんが、お互いに「ハズカシイ」と感じるような歌い振りでは、気持ちよく歌うことはできません。
最近のスカウト諸君は、リズム感もよく「カラオケ慣れ」でなかなかのノドをお持ちの御仁もいるはずですが、年長になるほど、スカウトソングを“ボソボソ” と歌うのは残念です。確かに「前時代的な曲調」「意味不明な歌詞」(笑)と、敬遠されがちな要素があることも理解できますが、まずは
堂々と声を出すことです。
「ソングもスカウティングの一部、「習うより慣れろ」が基本です。皆で歌うことを通して
「こころ」が一つになる体験をスカウトたちには積ませたいものです。
(GL:たいま)
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