【その4】国旗儀礼と国際教育

国旗儀礼

鎌倉第5団の国旗儀礼

 スカウトの集会や行事では、まずその最初に「国旗儀礼」を行います。正式には掲揚柱と呼ばれるロープ付の柱に、当番のスカウトが決められた動作で国旗を掲げ、全員が姿勢を正して国旗が柱の一番上に達するまで注目・敬礼します。掲揚柱がない場合や、室内などでは三脚に立てた国旗に向かって敬礼します。「国旗儀礼」は年少のスカウトでもピリッと緊張する瞬間です。

 スカウト運動で国旗の取り扱いを重視するのは、「ちかい」にあるように自分の国に対する「まこと」を示すとともに、この運動が世界中に仲間を持つ国際的なものであることにも由来します。例えば、外国スカウトとの交流行事では、会場にそれぞれの国旗を掲げてお互いに「尊敬の気持ち」を表します。これは、オリンピックを始めとするスポーツの国際大会で、スタジアムに全参加国の国旗を掲げたり、表彰式でメダルを獲得した国の国旗を掲げて、参加者全員がその国々の健闘を称えることと同じです。国旗に対する儀礼は、国際社会の一員として、互いに国の伝統や文化・歴史などへの敬意を表現する、世界共通のマナーなのです。

 日本の国旗は「日の丸」の旗です。「日本」という国の名前は、「日(ひ)の本(もと)」=太陽の昇るところ、という意味で、アジアの一番東にあるわが国は「一番最初に朝日が昇る国」である、との古くからの考えに基づくものです。太陽をかたどった「日の丸」の歴史も古く、鎌倉時代の末にはすでに使用されていたようです。「日の丸」が日本の「国旗」として国際社会から認知されるのは、日本が鎖国を解き、外国との自由な往き来を再開した江戸時代の末ですが、それより遥かに遠い昔から、私たちの祖先は「日の丸」を自分たちが生を受けた国のしるしとして親しんできたのです。

 「日の丸」の赤い丸は太陽を表します。「赤(あか)、明(あか)」は、人のまごころや誠意・熱意を意味します。丸は「円満さ」を示します。まわりの白地は、清らかさや神聖さを象徴する色で、平和で汚れのない、純潔さを表します。

 昭和20年に戦争が終わった時、日本はアメリカを始めとする連合国軍によって占領され、国際社会における「独立国」としての地位を一時的に失いました。「独立国」でないのですから、「国旗」である「日の丸」の掲揚も連合国軍の命令で禁止されました。しかし、未だ占領下であった昭和24年9月、東京・皇居前広場で開催された日本ボーイスカウトの「第1回全国大会」(=のちの日本ジャンボリー)では、全国から集まったスカウトの代表たちが堂々と、「日の丸」を掲げて行進することが許されました。これは、ボーイスカウト運動が「相互の理解と尊敬」を基とする、国際的な平和を求める運動であったからです。

 日本のボーイスカウトは「日の丸」を「われらの国の名誉のしるし・一人ひとりのこころのしるし」(スカウトソング「われらの旗」より)として大切にします。また、全世界のスカウト仲間それぞれの「名誉のしるし」である諸外国の国旗にも、同じように敬意をもって接します。国旗儀礼の励行は真の「国際人」を目指す第一歩なのです。

(GL:たいま)

Copyrightⓒ ボーイスカウト鎌倉第5団 All rights reserved.